五十肩の症状チェック
誰でも40代に差し掛かると周囲で「五十肩」という言葉を耳にすることがあります。
実際に、五十肩を経験してしまう人もいますが、五十肩とはどんな病気でしょうか?
肩が痛い病気?五十肩に関連する都市伝説的な情報もあるため、肩が痛いと感じた時は注意が必要です。
そもそも五十肩ってどんな病気?
世間では、肩が痛いと五十肩と思いこんでしまうことが少なくありません。
それでも、周囲の知り合いに話を聞くと
「五十肩で3年苦しんだよ」
「両肩が五十肩になって」
「夜痛くて眠れなかった」
「私は結局手術しました」
「五十肩なのに腕まで痛かった」
「痛いのを我慢して動かしていた」
など症状や治療も様々で、中には五十肩ではないこともあります。
「50代の人に多く見られる」から五十という文字が使われていて
「40代にも多く見られる」から40代の人には四十肩と呼んだりもします。
この「肩が痛い」病気は60代の人にも見られますが、六十肩と呼ばないのは、腱板断裂や石灰沈着などの病気、骨折などのケガであることが多いからです。
そもそも五十肩とは
「中年以降に、加齢的退行性変性を基盤として発生する疼痛性肩関節制動症」
ということが定義とされています。
その中で病名をあげてしまうと
- 肩関節周囲炎
- 癒着性肩関節包炎(凍結肩)
という2つの病気があり、さらに肩関節周囲炎の病気として
- 上腕二頭筋長頭腱炎
- 腱板疎部炎
- 腱板炎
- 肩峰下滑液包炎
- 肩甲下滑液包炎
- 烏口下滑液包炎
などの病気に細かく分けられます。
五十肩は、損傷している体の部位や状態によって病名が異なってきます。
五十肩の症状チェック
では、今「五十肩かな?」と思っている人は本当に五十肩か確認する必要があります。
また、整形外科等で五十肩と診断された人も、本当に五十肩なのか確認することで、これからの対処法も変わってきます。中には、五十肩でも手術をしなければならない人もいれば、五十肩じゃないけど手術が必要、そして本当に五十肩で、かつ手術をすすめられたけど、手術が必要ないケースも多く存在します。
痛い場所はどこ?:五十肩の痛む場所
五十肩かどうかを確認するうえで必要なことは、まずどこの部分が痛いのかということです。
- 首の付け根にある肩が痛い
- 腕の付け根にある肩が痛い
- 肩甲骨の内側が痛い
- 肩甲骨の後ろが痛い
上記の中で「首の付け根にある肩だけが痛い」場合は肩こりであることが多いです。
五十肩は、腕の付け根にある「肩関節」とその周囲が痛くなる病気です。
どのように痛い
五十肩の特徴は痛みの種類です。人によって痛みの感じ方は様々ですが、五十肩の特徴は
- 夜中に痛みが強くなる
- 肩が奥から重だるいような痛み
- 誰かに手を上げてもらっても痛みで全部上がらない
などがあげられます。また、
「腕も上がるし、夜も眠れないほど痛いわけではない」
場合と
「腕が上がらないし、夜も眠れないというような強い症状」
で分けることもできます。
一般的に前者は、肩関節周囲炎で留まっていますが、症状が重度の後者では、癒着性肩関節包炎(凍結肩)である可能性が高くなります。
特に、昔に肩を傷めた経験のある方は、外傷がきっかけで将来五十肩になる確率が高くなります。
五十肩は手術が必要?
五十肩で手術をした経験がある人は時々見かけます。通常、五十肩で手術となることはほぼありません。というのも手術になる前に適切な治療をすれば回復してしまうからです。
この手術というのは特殊なケースですが、「マニピュレーション」といって無いわけではありません。当院の場合、「医師に手術を提案されたけど手術が怖いから手術しなくて済むようになんとかしてほしい。」といった相談を受けることも少なくありません。実際、手術しなくても回復していきます。
では、マニピュレーションとはどんな手術でしょうか?
五十肩の手術:マニピュレーション
マニピュレーションとは、麻酔下徒手的授動術のことで、五十肩の状態があまりにもひどい時におこなう治療法です。
患者さんに全身麻酔をかけて、強力な力で一気に肩の関節を動かし可動域を拡大させる方法、いわゆる荒療治となります。
当然、関節包を断裂させて関節血腫、腫脹を引き起こすだけでなく腱板断裂、骨折、脱臼を引き起こすこともあるので、あまりやりたがらない方法です。
サイレントマニピュレーション
サイレントマニピュレーションとは神経ブロック下授動術のことで、麻酔下徒手的授動術を応用させた治療となります。
麻酔下徒手的授動術は全身麻酔下で行うのに対し、神経ブロック下授動術では神経ブロック注射を行った後に医師が直接関節を動かします。
実際には、超音波を用いて第5.6頚椎(C5.6)神経根の周囲に局所麻酔剤を注射します。
麻酔で肩関節周囲の痛みがなくなっていることを確認し、腕を動かして関節包を破断させ、肩関節の動きを改善する治療法です。
肩関節周囲炎の方に意識がある状態でおこなうため、有害な症状などがあれば反応も確認しやすく、また全身麻酔ができない方にもおこなうことができるため、適応の幅が広い治療法であるとされています。
五十肩の最新治療:ショックウェーブ
病院で電気やリハビリだけでは五十肩はなかなか良くなりません。
「1年以上は肩が痛いよ!」と経験談を聞かされることも少なくありません。
また、五十肩は、拘縮期になると、今までのような痛みは楽になります。しかし、関節が固まっている状態なので動かそうとしてもなかなか思うように手が挙がらないし、無理に挙げようとするとやっぱり痛い、というような状態です。だからこそ、癒着を引き剥がすマニピュレーション手術をすすめられてしまうのです。
五十肩がなかなか治らない、手術をすすめられたけどしたくない、そんな時に役立つ治療が、衝撃波、ショックウェーブという治療法です。
ショックウェーブは、もともと腎結石の治療として、石を砕く治療に利用していましたが、五十肩のような拘縮期で癒着し硬くなった組織に対して有効な治療法です。
ショックウェーブで病気の原因となっている組織を柔らかくすることで、痛みが軽減し、ここからはじめてリハビリという関節を動かす治療をおこなうことができます。
五十肩でお悩みの方、発症から1ヶ月でも半年経過していても構いません。お気軽にご相談ください。